Melody Honey
詩音はそらすように横を向くと、
「好きなヤツの指輪のサイズがわからねーヤツがどこにいるんだよ」

少しだけぶっきらぼうに言った。

「それに、俺の妻になるヤツが言うセリフか?」

「妻?」

聞き返した瞬間、詩音が私に視線を向けた。

「自覚がなかったのかよ」

そう言った詩音に、
「だって、詩音の口から“妻”って言う単語が出てきたから。

それに…」

「それに?」

「プロポーズ、まだされていないよ?」

そう言った私に、
「これからするんだよ」

詩音は私の左手をまた手に取ると、チュッと手の甲に唇を落とした。

ドキッと、わたしの心臓が鳴った。
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