Melody Honey
桐生のその笑みを見た私は思い出して、目をそらすようにうつむいた。

「意味を言った後でお前がこう言ったんだ」

桐生は口角をあげると、
「“わたしに恋の味を教えてください”、って」
と、言った。

誰か私を殺してください。

確かに、私はこの男にそんなことを言いました…。

「その後、ホテルに連れ込んで」

そう言った桐生に、
「その先は絶対に言わないで!」

私は叫んだ。

「あんまりお前が求めるから、後はどうしようかと思ったぜ」

ククッと、思い出したように笑いながら桐生が言った。

私のバカー!

酔っ払っていたとは言えど、この男に何てことをしたのよ!

私は自分の失態に落ち込むことしかできない。
< 34 / 288 >

この作品をシェア

pagetop