Melody Honey
その後は…翻弄されていると言った方が正しいかも知れない。

それくらい、私は桐生の手によって乱された。

どんなに私が声をあげて鳴いても、桐生はやめてくれなかった。

「――もう、やめて…!」

震える声で叫んだ私に、
「これで終わったら、お前が後で苦しむことになるぞ?」

桐生はそう言って、また私を翻弄することに取りかかった。

彼に逆らうのはもちろん、眠ることも許してくれない。

「――あおい…」

意識が遠退いて行くその瞬間、桐生が私の名前を呼んだ。

テナーのその声から逃げるように、私はようやく眠りについたのだった。
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