Melody Honey
「な、何よ…」

そう言った私に、
「いつくらいに帰ってくるんだ?」

桐生が聞いてきた。

「わかんないわよ、久しぶりに会うんだから」

視線から逃げるように、私は横を向いた。

「へえ、わからないねえ…」

もう、何だってんのよ。

そう思っていたら、
「まあ、早く帰るようにな」

桐生が言った。

帰れたら帰りますー。

そう思いながら桐生から逃げようとした時、
「ちょっと待て」

彼に腕をつかまれた。

「一言も戻れなんて言ってねーぞ?」

「はあ!?」

思わず聞き返した私に、
「忘れちゃいけないことがあるからな」

桐生がニヤリと笑ったかと思ったら、腕を引っ張られた。
< 95 / 288 >

この作品をシェア

pagetop