サイレントナイト～赤くて静かな夜～

黒い瞳。

黒い髪。

二重の大きな目に、

細い顎。

小さな唇。

「お前…」

どこかで会ったか？

思わず出そうになった言葉を、オカジマをぐっと呑み込んだ。

オカジマのバイクの向こうに立っていたその少女は、確かに会ったことのないはずの顔だった。

「あなた、オカジマ？」

どこか懐かしさをかんじさせる、細い声だった。

「オカジマですけど、どちら様ですか！」

いつの間にか、オカジマの横に姫芽が立っていた。

「あたしはオカジマの彼女ですけど、あなたは？」

少女はゆっくりと姫芽に目を移し、首を少し横に傾けた。

「あなたは？」

「どんな関係かって聞いてるの！」

挑発に動じないのが腹立たしいのか、姫芽は少し声をあらげて少女に迫った。

「私とオカジマの関係…」

少女はゆっくりとオカジマに向き直った。

「家族」