サイレントナイト~赤くて静かな夜~
「その嘘適当すぎ。
逆ナンお断り。」

姫芽は少女の次の言葉を待たずに、

「オカっち行こうよ」

と言ってオカジマのバイクの後ろに股がった。

「ほら、オカっち早く!」

「おう。
お、おいお前…」

姫芽に半ば強引にバイクに乗せられたオカジマが口を開きかけた時、

「おっ待たせ~。
オカジマ行こうぜ行こうぜ」

改造したマフラーからけたたましい音を撒き散らしたハイジのバイクが、オカジマの声をかきけした。

「ばかハイジ遅いんだけど~
てゆうかどこ行ってたの?」

「ごごごごめん、姫芽ちゃん。
姫芽ちゃん達は、は、は、裸だったからさ!
着替えてる間にタ、タバコ買いに行ってたの」

「トロハイジ!早く事件のとこに連れてってよ」

黒いショートパンツからのびる、褐色の健康的な足でバイクを挟んだ姫芽がオカジマの肩を揺すった。

「まま、任せて姫芽ちゃん、ついてきて!」

排気音を撒き散らし、ハイジは狭い路地を勢いよく走り出した。
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