サイレントナイト~赤くて静かな夜~
もう会えなくなった息子も、ちょうどお前らと同い年だな。

餃子を並べた鉄板に勢いよくお湯を流し込みながら、豊城は一歳で別れた息子の成長した顔を思い浮かべた。

「ねえおっちゃん!あたしにもビールおかわり!」

ジョッキを叩きつける音と、姫芽の大きな声に、豊城は我に返った。

「姫芽ちゃん、あんた今日夜勤じゃないの?」

「いいの!
オカっちがムカつくからいーの!
姫芽を置いていきやがって!」

姫芽は早くも赤い顔で豊城につっかかった。

「酒弱いくせに飲むんじゃないよ。
姫芽ちゃん、事務所貸してあげるから仕事まで寝てなよ」

「ひ、ひ、姫芽ちゃん、おおお、俺が仕事場までバイクで送ってあげる」

「ほっとけバカハイジ!」

姫芽はハイジの手を振り払うと、カウンターに突っ伏してそのまま寝息をたてだした。

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