サイレントナイト~赤くて静かな夜~
「死んじまえよくそったれ」

ユキオは勢いよくアスファルトに拳を打ち付けた。

湿り気のある生暖かい夜の空気が、泥酔したユキオの体をじっとりと包んでいく。

「ユリ子…
ばか野郎…
死んじまえよ」

今朝のユリ子の鬼のような形相がユキオの頭によみがえってきた。

「ユキなんか死ねよ!
ユリはてめえなんていらねえんだよ!」

染めたばかりの鮮やかな金髪を振り乱し、ユリ子は狂ったように泣き叫んでいた。

「誰に向かって口きいてんだくそ女」

そう言ってユキオはユリ子の長い髪をつかんで床に叩きつけた。

ユキオより4才年下の、15才のユリ子は涙をボロボロ流しながらユキオを睨みあげた。
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