サイレントナイト~赤くて静かな夜~
「お前、まさか朝からずっとそこに座ってたわけじゃねえよな」

ヘッドライトをつけたまま、オカジマはバイクを降りて少女に近づいた。

「そうだよ」

「お前、何やってんだよ!
俺は家出は止めねえけどな、夜に夜道をうろうろすんのは危ねえぞ。
特にこの地域は治安が良くねえからな」

そう言ってオカジマは少女の頭をポンポン叩いた。

「家族は、オカジマ」

オカジマは苦笑いして頭をかいた。

「確かに俺にはお前と同い年位の家出した妹がいるけどな、あんな手のかかる妹は一人いりゃ十分だな」

少女は黒く澄んだ瞳でオカジマを見上げた。

「ユリ子はいい子だよ」

「なんだお前、ユリ子の友達か?」

「違うよ、家族」

「オヤジに隠し子はいねえと思うぜ。
まあ、今更聞くこともできねえけどな」

オカジマは少女の頭をポンポン叩きながら、

「お前、家出なら友達のとこまで乗せてってやるよ」

とバイクを指差した。
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