サイレントナイト~赤くて静かな夜~
オカジマの怒鳴り声に、ユリ子は弾かれたように飛び起きた。

その弾みで、手にしていた太巻きが床に落ちる。

「ご飯は7時って言っただろ!?なんで食べちゃったんだよ!」

腹立たしさが込み上げてくる。
オカジマはユリ子の腕をつかんでなおも怒鳴った。

「おにーちゃん、だって…だって…」

みるみるうちに、ユリ子の黒い瞳は涙でいっぱいになっていった。

「だってじゃないだろ!ユリ子なんかもう知らないからな!」

「おにーちゃぁん…」

泣きじゃくるユリ子の腕を叩いて、オカジマは一階にかけ降りて行った。

「おにーちゃんのばかぁ…」

ユリ子の泣き言が聞こえないように、オカジマは居間のテレビのスイッチを入れた。

泣きじゃくるユリ子の部屋の机に、「小1さんすうドリル」と、「かきとりドリル」が広げられていたのを、オカジマは気付いていなかった。
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