サイレントナイト~赤くて静かな夜~
「死ねくそ野郎」

「黙れくそ女」

そう言ってユキオは、畳に突っ伏したユリ子を何度も蹴った。

甘えている時はユキオにかじりついてくる腕も、
普段は無邪気に笑う顔も、
成熟しきっていない細い体も、
何度も何度も蹴りあげた。

体を丸くしたままユキオの攻撃に耐えていたユリ子は、次第に動かなくなっていく。

「なんとか言えよくそガキ」

ぐったりしたユリ子の胸ぐらを掴んで無理やりおこしても、
ユリ子は決してユキオの血走った目と目を合わせようとはしなかった。

「死んじまえよ」

そう言い残して、ユキオはいつものようにアパートを出ていった。

ユキオとユリ子が出会ったのは半年前。
深夜のコンビニの前で、一人で氷結を飲んでいたユリ子に、ユキオが声をかけた。

そのままユリ子はユキオの住むワンルームのアパートに行き、セックスをした。
その日からユリ子はユキオのアパートに住みついた。
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