サイレントナイト~赤くて静かな夜~
暗い部屋の布団で一人丸くなっていると、ユリ子の脳裏にはあの時の光景がよみがえってきた。

向こうのソファーで寝返りを打つ滝口に、ユリ子は舌打ちをした。

夜になると、ユリ子は裸のオカジマが他の女を抱いていた光景を思い出した。
胸がつぶれそうな孤独感を忘れられるのは、他の男とセックスしている時だけだった。

「ユキ、なんで死んだんだよ」

涙もでない虚しさに押し潰されそうになり、ユリ子は腕で体を抱いて子供のように体を固くした。

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