サイレントナイト~赤くて静かな夜~
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「岡嶋工業」の二階にあるユリ子の部屋では、布団にちょこんと座ったシズカが、黒い瞳をじっと動かさずにオカジマを見つめていた。

「いいか、俺がいない間もこの部屋から出るなよ。
明日の仕事が始まる8時半までには帰ってくるからな」

そう言ってオカジマがシズカの頭をポンポン叩くと、シズカはゆっくりと頷いた。

「あと、服は押し入れにユリ子の残してったやつが入ってるからな、裸で寝るんじゃねえぞ」

シズカが頷いたのを確認して、オカジマは「じゃあな」と立ち上がった。

「オカジマ、おやすみ」

「おう。
……お前…」

もう死にたいなんて言うんじゃねえぞ。

そういいかけてオカジマは、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。

首を傾げて微笑んだシズカの表情からは、到底死に追いやられているような切迫感は感じられなかった。

「風邪ひかないように布団かけて寝るんだぞ」

そう残して、オカジマはユリ子の部屋の扉を閉めた。
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