サイレントナイト~赤くて静かな夜~
一歩足を踏み入れると、こもった熱気と埃臭さがオカジマにまとわりついてきた。

電気を点けると、四畳半の畳の部屋が目に入る。

部屋には窓はなく、代わりに小さな換気せんが一つある。

左隅の壁際には机と椅子がおかれ、「鉄鋼技術」や、「進化するロボット科学」などとかかれた本が並んでいる。

靴を脱ぐための狭い土間にサンダルをおくと、オカジマは殺風景なその部屋に足を踏み入れた。

この部屋なら姫芽が入ってくることもないだろう。

布団を運んで、シズカをここに連れてこよう。

そう決めると、オカジマは換気扇のヒモをひいた。

ブーンと耳障りな音をたてて、ファンが回り出す。
カビ臭さに、オカジマは咳き込んだ。

掃除機をかけなければたまったものではない。

掃除機をとりに住居に戻ろうとした時。
オカジマはふと机の上に違和感を感じた。
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