サイレントナイト~赤くて静かな夜~
整理された本の中に、一冊見慣れない赤いファイルがある。

オカジマの父、岡嶋幸助はよくこの狭い部屋で、新しい部品の商品開発や技術開発の案を構想していた。

岡嶋幸助が考え出した新しい独自の技術は、一般の社員に外にもらされないよう、青いファイルにまとめれていた。

その青いファイルは居住用の部屋に保存してあったから、幼いオカジマは、岡嶋幸助が青いファイルを手にして工場の奥の部屋に行く姿をよく見かけていた。

だから初めて見る赤いファイルは、オカジマの興味を掻き立てた。

オカジマは何気無くファイルを手に取ると、パラパラとめくっていった。
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