サイレントナイト~赤くて静かな夜~
オカジマの表情が一瞬、微かに揺れたのを確認し、杉崎は言葉を続けた。

「いやいやそれにしても、本当に大きくなったもんで。
岡嶋君が見たら喜びますでしょうねえ」

杉崎がそういって頭をかいた時、杉崎の視線が一瞬玄関の隅においたシズカの靴を捉えたのを、オカジマは見逃さなかった。

「おっと失礼、女性のお客様でも?」

杉崎はしらじらしくオカジマの表情を覗き込んだ。

「妹がいるんで。親父から聞いていないのか?」

「いやいやいや、そういえば、ユリ子ちゃんという娘さんがいたみたいで。どうですか、お元気ですか」

「お陰さまで」

杉崎の何かを探るようなねっとりとした口調は、熱帯夜のような不気味さをまとっている。

オカジマは息苦しさを感じた。
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