サイレントナイト~赤くて静かな夜~
伊吹の二階
>>>「お客さん、お客さん」
運転手の声に、姫芽ははっと目を覚ます。
夜勤明けなのに加え、ここ数日寝不足だった。
体とまぶたが重いままだ。
「お客さん、着きましたよ。」
50代半ばとみえる小太りのタクシー運転手は、めんどくさそうに姫芽を急かした。
「はいはい、いくら?」
挑戦的な姫芽の態度に、運転手はぶっきらぼうに値段を告げた。
「かんじわるーい」
わざと運転手に聞こえるように言って、姫芽はタクシーを降りた。
岡嶋工業の、駐車場。
降り立った瞬間、姫芽は違和感に気づく。
明け方、夜勤の終わった姫芽が来る時間に、必ず停めてあるはずのオカジマのバイクが、一台ない。
「めずらしい…」
姫芽はオカジマに電話しようとしたが、思い直してとりだした携帯電話を
バックに戻した。
夜勤明けの疲れた頭では、電話で話すことすら億劫なことだ。
オカジマの部屋で待っていることにしようと思ったのだ。
姫芽は重い足どりで玄関に行くと、合鍵を取り出して鍵を開けた。
敷居を跨ぎ、さりげなく下を見た瞬間、姫芽の視線はあるものを捉えた。
運転手の声に、姫芽ははっと目を覚ます。
夜勤明けなのに加え、ここ数日寝不足だった。
体とまぶたが重いままだ。
「お客さん、着きましたよ。」
50代半ばとみえる小太りのタクシー運転手は、めんどくさそうに姫芽を急かした。
「はいはい、いくら?」
挑戦的な姫芽の態度に、運転手はぶっきらぼうに値段を告げた。
「かんじわるーい」
わざと運転手に聞こえるように言って、姫芽はタクシーを降りた。
岡嶋工業の、駐車場。
降り立った瞬間、姫芽は違和感に気づく。
明け方、夜勤の終わった姫芽が来る時間に、必ず停めてあるはずのオカジマのバイクが、一台ない。
「めずらしい…」
姫芽はオカジマに電話しようとしたが、思い直してとりだした携帯電話を
バックに戻した。
夜勤明けの疲れた頭では、電話で話すことすら億劫なことだ。
オカジマの部屋で待っていることにしようと思ったのだ。
姫芽は重い足どりで玄関に行くと、合鍵を取り出して鍵を開けた。
敷居を跨ぎ、さりげなく下を見た瞬間、姫芽の視線はあるものを捉えた。