サイレントナイト~赤くて静かな夜~
オカジマの部屋と線対象になった、6畳間には、女物の服が散乱していた。

四段のチェストの棚は全て開かれ、引っ掻き回されている。

「どういうことだ」

「…」

オカジマが姫芽に鋭い視線を向ける。
かつて姫芽にはむけられたことのない、激しさと焦りの混じった感情を、姫芽はオカジマの表情のなかに垣間見る。

「しらない」

とっさに姫芽は答える。頭より先に、口が言葉を発する。
素早く首を横にふり、臭いもののにおいを払うような仕草で顔の前で手をひらひらふる。

「知らないのか?」

オカジマは、眉間に眉を寄せたまま姫芽を睨み付けた。
そこに、怒りとは別の焦りの感情があることに姫芽は気が付かない。
姫芽はすぐに嘘をついたことを後悔する。

「知らないってゆうか。ごめん。なんてゆうか…いたの。」
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