サイレントナイト~赤くて静かな夜~
ラーメン屋の2階にある、12畳ほどの部屋で豊城は目を覚ます。

起き上がろうとして体を動かすと、肩や腰がキシキシと痛む。

黒い革のソファーからどうにか体を起こすと、豊城は左手で右の肩を押した。
ラーメン屋で長年酷使した肩は石のように固まり、指で肩をおしてもゴキゴキと石の塊が動いているようだ。

40も半ばを過ぎて、いよいよ無理が出来なくなってきた。

ぶつぶつ独り言を言いながら、豊城は思い出したようにロフトを見上げた。

昨夜、オカジマが連れてきた少女がそこには眠っている。
事情はよく解らないが、参ったな。
豊城は、昨夜のオカジマの急な訪問を思い出して、参ったな、と言う風に頭に手をのせた。
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