恋する星曜日~Pure Love Story~
だけど先輩が


「午前1時ごろに到着して、それから星を見るんだからさ。今のうちに、眠っておけよ」


そう言うから。


あたしはお言葉に甘えて……

眠ったフリをした。


本当は、こんなにドキドキしていて、眠れるわけがないけど。

先輩の気遣いをムダにしたくなくて。

眠ったフリをしたのだ。



でも、ときどき薄目を開けては、あたしはこっそり、盗み見をする。


運転中の、先輩の横顔。

先輩の耳。

のどぼとけ。

白いポロシャツに包まれた広い胸。

日焼けした腕。

ハンドルを握る大きな手。

短く切りそろえられた、爪。



全部が全部、どうしようもないほど、いとしくて。

いとしくて。


抱きついてしまいたい衝動にかられる。

……そんなこと、できるわけないけど。


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