恋する星曜日~Pure Love Story~
あたしはコホンと咳をしてごまかし、話を続ける。



「あの、先生、あたしのこと覚えてませんでしたか?」



五味先生は、小さく息をついて髪をかきあげ、

「覚えてるけど」

とぶっきらぼうに答えた。



「カイトのカノジョだろ?」



「なんだ、あたしを見ても平然としてたから、覚えてないのかと思いました」



「授業中だったし。それに、別に覚えてるからって、だから何ってこともないし」



そりゃ、そうだけど。

そんな冷たい言い方しなくても。



「とにかくお前、さっさと帰れ」



そう言って建物に戻ろうとした五味先生のシャツの裾を、あたしはパシっとつかんだ。



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