恋する星曜日~Pure Love Story~
「では、お言葉に甘えて……」



「本当? プレゼントさせてくれるの?

嬉しいな、夢が一つ叶ったよ。ありがとう」



清算を済ませカヨに絵本をくれたあと、オジサンは少しはにかんでこう言った。



「まだ時間、あるかな?」



「ありますけど……」



「じゃあ、良かったらそこの喫茶店でお茶でも飲みませんか?」



「でも……」



「娘とお茶をするのが、長年の夢だったんですよ。でも、すみません、迷惑ですよね」



「そんなこと……。じゃあ、少しだけ」



「ありがとう、また夢が叶います」



嬉しそうに笑うオジサンの顔を見て

「あたし、もしかしてけっこういい事してる?」

と本気で思ってしまった、カヨ、15歳の春だった。

< 275 / 438 >

この作品をシェア

pagetop