恋する星曜日~Pure Love Story~
カイト先輩は前髪をサラリとかきあげて。

それから――


「指輪にしようか迷ったんだけどさ。

というか、セーラは指輪の方が嬉しいのかとも思ったんだけど……

指輪は、いつか本物をあげたいから。

それまで、ここは空けといて」



そう言いながら、あたしの左手の薬指にそっと触れてきた。


いつか本物をって……

本物の指輪って、エンゲージリングのことだって思ってもいいの……?




「……もう1回、投影しようか。セーラの生まれた、秋の夜空を」



静まり返るプラネタリウムの中――

先輩の肩に頭をもたれて、手をつないだまま秋の夜空を見上げる。



「先輩はあたしの、フォーマルハウトみたい」



あたしは小さくつぶやいた。



フォーマルハウトは、秋の南の空に見える、ただ一つの1等星だ。

あたしにとって先輩は……


ただ一人の――



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