恋する星曜日~Pure Love Story~
「……はじめまして、いらっしゃいませ」



サヤカさんはあたしとカヨに挨拶すると、カイト先輩と五味先生に「久しぶりね」と懐かしそうに目を細めた。


目を見開いたまま黙っている五味先生に代わり、カイト先輩が返事をする。



「サヤカ先生、このペンションで働いてたんですか」



「先生って呼び方はやめてくれないかしら。もう先生じゃないから。

……ここはね、叔父が経営するペンションなの。

それで、数年前からここで働いてるのよ」



数年前から――というのは、教師をクビになってから、という意味だろうか。



「どうして……」



五味先生が口を開き、何かを言いかけたものの、やはりそのまま口をつぐんでしまった。



どうして、自分の前から姿を消したのか。

とうして、連絡先を教えてくれなかったのか。



いろんな「どうして」が、五味先生の中でうずまいているのかもしれない。



「とにかく、お部屋へどうぞ」



気まずそうに目を伏せて、サヤカさんが部屋へと案内してくれた。
< 331 / 438 >

この作品をシェア

pagetop