恋する星曜日~Pure Love Story~
駐車してあった車から、
「カヨさん!?」
サヤカさんも驚いて走り出てきた。
車の窓を開けると、カヨはサヤカさんに向かって「ごめんなさい!」と叫ぶ。
「あたし、こっちの車で帰りますから、代わりにその人を乗せて帰ってあげてください。すみません!」
あたしも窓を開けて五味先生に言う。
「ここから歩いてペンションまで帰るの、1時間はかかるそうですから。サヤカさんの車で帰ってくださいね!」
「おいっ! お前達、何を考えて……」
五味先生の言葉を最後まで聞かないうちに、カイト先輩はアクセルを踏み込んだ。
「素直になれよー」
カイト先輩は窓からそう叫ぶと、大きくハンドルを切って、コンビニを後にした。
バックミラーに写るのは、呆然と立ちすくむ二人。
だけど……
二人が遠くなって見えなくなりそうなころ。
ゆっくりと近づいてゆく二人の姿が、最後にほんの少しだけ、見えた。