恋する星曜日~Pure Love Story~


あの雨の日から、もうすぐ1週間。

あれ以来、あたしは先輩と話をしていなかった。


先輩からは何度か電話があったけど……

何を話せば良いのか分からなくて。

口を開けば、「行かないで」なんて、絶対に言ってはいけない言葉を言ってしまいそうだったから。

あえて、電話に出なかったのだ。




日曜日の午後、あたしはふと思い立って、いつものカフェに行ってみた。



「いらっしゃいませ」



マスターはあたしの顔を見ると

「一人? 何かあった?」

いきなりそう言ってきた。



「どうしてあたしが一人で来ると、何かあったって思うの?」



「いや、前回もそうだったろ?」



「前回って……1年近く前のことなのに、記憶力いいなぁ」



マスターは、カウンター席のイスを「どうぞ」と引きながら

「悩みごとのある顔をしてるしね」

と静かに微笑んだ。



「えっ、そう?」



あたしは慌てて両手を頬にあてる。



「話してごらんよ」



マスターは、かつてと同じように、サービスでクッキーを出してくれた。

マンゴージュースを注文して、あたしはポツリポツリと話しはじめた。
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