恋する星曜日~Pure Love Story~
「なんの匂い?」



「え?」



「セーラちゃんから、なんか甘い匂いがする」



カイト先輩はあたしの前で、すぅっと息を吸った。



「え……あぁ、たぶん、これです」



あたしは、自分の唇を指差した。

それは、買ったばかりの新しいリップグロスを塗った唇。


「カレがキスしたくなる唇へ」というコンセプトで売りだされているそのリップグロスは、今、高校生に大人気で。

甘いバラの香りがついているのだ。



「カレが、キスしたくなるような唇になれるリップグロスだそうです」



冗談っぽく言って、あはは、と笑ったのに。



「そうだね、キスしたくなるよ」



そんな言葉を返されたから。

あたしの顔に、カーっと血が上る。


< 54 / 438 >

この作品をシェア

pagetop