白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
「諏訪様をおまもりせよ!」
常篤を取り囲んでいたうちの半数が、今後は諏訪のまわりを取り囲むように構え、常篤を囲んだ侍従たちも剣を抜いた。
いつのまにか騒ぎを聞きつけた常篤領内の民が集まり始めていた。
それにも気付かぬほどに集中している常篤が、頼重の侍従たち一人ひとりを目で追って確認する。そうしながら静かに白桜の刀を上段に構え、そしてピタリとその動きが止まった。
このとき、かすかな風に舞い散っていた桜の花びらが、美しい螺旋を描いて常篤をつつんだ。それは万華鏡の画を見るようでもあり、殺伐とした殺陣をあたかも芸術のように魅せるような魔力をおびて、一瞬侍たちの殺気を奪った。
その一瞬である。
ひらり、と常篤の身体が宙に舞うと、その身体は、およそ3mはあろうかという距離を一気に縮め、籠の前で凍ったように狼狽する諏訪道重の首を斜めに斬り落とそうとした。
まさに一瞬である。
周囲はまるで時が止まったようになり、周囲を取り囲んでいた農民たちも息を飲んでその様子を見つめている。
常篤を取り囲んでいたうちの半数が、今後は諏訪のまわりを取り囲むように構え、常篤を囲んだ侍従たちも剣を抜いた。
いつのまにか騒ぎを聞きつけた常篤領内の民が集まり始めていた。
それにも気付かぬほどに集中している常篤が、頼重の侍従たち一人ひとりを目で追って確認する。そうしながら静かに白桜の刀を上段に構え、そしてピタリとその動きが止まった。
このとき、かすかな風に舞い散っていた桜の花びらが、美しい螺旋を描いて常篤をつつんだ。それは万華鏡の画を見るようでもあり、殺伐とした殺陣をあたかも芸術のように魅せるような魔力をおびて、一瞬侍たちの殺気を奪った。
その一瞬である。
ひらり、と常篤の身体が宙に舞うと、その身体は、およそ3mはあろうかという距離を一気に縮め、籠の前で凍ったように狼狽する諏訪道重の首を斜めに斬り落とそうとした。
まさに一瞬である。
周囲はまるで時が止まったようになり、周囲を取り囲んでいた農民たちも息を飲んでその様子を見つめている。