白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
「・・・城に・・・とにかく城に知らせよ!」
誰かが震える声で叫んだ。
その声にはじかれるように、すべての侍従が城へ向けて走り出した。いや・・・『逃げ出した』といったほうが正確であろう。
その背後には未だ白桜の剣が抜かれており、その刀気は獣がその熱い息を吐きかけるかのように侍たちの恐怖心をかきたてた。
その背後に、阿修羅を見たという者もあれば、狼の姿を見たというものもある。とにかく、その刀気に押された侍たちは、一瞬のうちにその場から消えうせたのである。
(終わった・・・)
常篤はゆっくりと息を吐くと、その刀をゆっくりと鞘におさめた。
常篤はそのときになってはじめて、騒ぎを聞きつけ周りに集まっていた領民の姿に気付いた。
常篤をよく知る領民たちも、あまりに急な出来事で、かつ自分たちの見たことがない迫力をもった常篤の偉容な姿に圧倒されて、誰一人言葉を発するものもなく、じっと常篤を見つめていた。
誰かが震える声で叫んだ。
その声にはじかれるように、すべての侍従が城へ向けて走り出した。いや・・・『逃げ出した』といったほうが正確であろう。
その背後には未だ白桜の剣が抜かれており、その刀気は獣がその熱い息を吐きかけるかのように侍たちの恐怖心をかきたてた。
その背後に、阿修羅を見たという者もあれば、狼の姿を見たというものもある。とにかく、その刀気に押された侍たちは、一瞬のうちにその場から消えうせたのである。
(終わった・・・)
常篤はゆっくりと息を吐くと、その刀をゆっくりと鞘におさめた。
常篤はそのときになってはじめて、騒ぎを聞きつけ周りに集まっていた領民の姿に気付いた。
常篤をよく知る領民たちも、あまりに急な出来事で、かつ自分たちの見たことがない迫力をもった常篤の偉容な姿に圧倒されて、誰一人言葉を発するものもなく、じっと常篤を見つめていた。