白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
「いえ、めっそうもございません。拙者は部下として当然のことをしたまで。それよりも…」
「なんだ?」
「本当に紗枝殿をこのまま郷里へ帰してよいのでございますか?」
「よい。」
そういいながらも常篤は憂鬱な目をしている。
(まだ紗枝殿のぬくもりをこの手が覚えている…)

常篤が女を抱いたのは昨夜が初めてである。それでも紗枝は全身で感じ、これまでの男との契りなどと比べようもないほど乱れた。

紗枝の声があまりに高く、佐助らは、それを出来る限り周囲に聞こえぬよう、あらゆる手段をこうじるのに苦心したほど、である。
魂のレベルで引き合う男女の交わりとは、これほどのものなのか…と佐助は驚嘆した。

佐助の部下の一人の女忍などは、その光景に圧倒されて、自ずから手淫を始めたほどである。
「これっ何をしておるっ」
慌てて佐助は止めたものの、男をたらしこむ為に性交の修行までも十分にこなしている忍の女子を見ているだけでここまで乱れさせる男女の交わり…

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