白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
佐助はそれを思い出すにつけ、
(常篤様と紗枝殿は…これでいいのだろうか…)
と疑問を感じずにはいられなかった。

「常篤様。やはり…」
「…もうよいのだ。佐助。」
「常篤様と紗枝殿ふたりなら我が里に匿うことも可能かと。ぜひそうなされませ。」
「それでは『私怨』が『私怨』に終わる。私が腹を切って初めて、白桜が存在意味を世にしらしめ、民は自ら新しい生き方を模索する。それが新しい時代の礎になるのだ。」
「しかし…」
「ならば、ひとつ頼みがある。」
「なんなりと。」
常篤は、何かを佐助に耳うちした。
「それはまた!」
一瞬佐助がこの男には珍しく表情をこわばらせた。
佐助は常篤の頼みを聞きながら、
(さすがは常篤様。確かにそのような事態も考えられる…)
感心するのだった。
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