白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
そんな両親を見てみぬふりをしながらも・・・紗枝は、その強引に押し寄せてくる縁に抗しえない自分の・・・いや人間の弱さを知った。そしてある日、とうとう紗枝は前者の福田屋を選ぶ決断をしたのである。
「もはや、この縁談、私がいずれに嫁がねば収拾がつきませんでしょう…」
両親は紗江の決心の固さと、紗枝の望みであるなら、ということで了解したが、心中は複雑であった。
それは紗江が自身の幸せよりも、家族の将来を選択する娘であることを知っていたからで、今回の縁談もできれば断りたかったに違いないのである。
(嫁いてすぐに夫を亡くした不憫な娘・・・もう少し一緒にそばにいてやりたい)
そういう娘への想いが日々つのるばかりであった。
しかし、それなりに大きな財を持つ庄屋の1人娘が夫を亡くして生家に戻った、しかも子はいない上に、器量は文句なしに美しい。それだけでも次々と縁談が舞い込むのも当然であったから、紗江の両親もこればかりはどうすることも出来なかったのである。
「もはや、この縁談、私がいずれに嫁がねば収拾がつきませんでしょう…」
両親は紗江の決心の固さと、紗枝の望みであるなら、ということで了解したが、心中は複雑であった。
それは紗江が自身の幸せよりも、家族の将来を選択する娘であることを知っていたからで、今回の縁談もできれば断りたかったに違いないのである。
(嫁いてすぐに夫を亡くした不憫な娘・・・もう少し一緒にそばにいてやりたい)
そういう娘への想いが日々つのるばかりであった。
しかし、それなりに大きな財を持つ庄屋の1人娘が夫を亡くして生家に戻った、しかも子はいない上に、器量は文句なしに美しい。それだけでも次々と縁談が舞い込むのも当然であったから、紗江の両親もこればかりはどうすることも出来なかったのである。