白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
(常篤様・・・)
この執心の正体は一体なんなのであろうか。二度も夫を失いながらも、また新たな出会いにすがり、そして、それをも奪い去られようとしている女の中にある執着心。
何かに追われるように紗枝は祈り続けた。あれからロクに食事もとっていない。少しばかりの水を口にしただけである。それでも、紗枝はやめることをしなかった。
(常篤様は、生きよ・・・と仰せでしたが・・・私の命などどうでもよいのです。常篤様が生きて帰ってさえくれれば、こんな命いつでも差し上げます。ですから、どうか・・・)
紗枝のはかない願いは届くのであろうか。

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