白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
一人を送り出した後、少し考えた幸民は、さらにもう一人使者を出した。そこには、先に出した使者に渡した書状より詳しく指示をしたためた。家臣、特に諏訪につながるものの先走りなきよう、また、民衆の動向は逐一報告をするように。さらに、近いうちにご公儀に願い出て国許に帰るゆえ、それまで家臣一同力を合わせて政を行うように。決して争うことなかれ、といった内容であった。

(間に合えばよいが・・・)
感慨にふけるのもそこそこに、幸民は思い直して、すぐに国許へ帰る許可を幕府に求める嘆願書を書き始めた。

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