白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
(さて・・・拙者には・・・いや私には重たすぎる役目であるが。いくとするか。)
常篤に化ける準備は数日前、そう、常篤が諏訪を斬ったあの日から進めていた。
常篤はあの日、このような事態になって藩政が滞ることをあらかじめ予測していたのである。そして、そのために佐助がもう一人の常篤となって、民衆の怒りを呼び覚まさぬようにする。そして、そのときは自身は極秘に切腹し、諏訪一味をおさえる、といった策を与えていたのだ。
おかげで、佐助はそのための準備を十分に進めることができていた。
(やはり・・・常篤様はすばらしいお人であった。)
しかし、いつまでも悔やんでばかりはいられない。常篤の遺志にそむかぬために、佐助には次の仕事があった。
「よし。いくか。」
そういうと、佐助は驚く目で『常篤となった佐助』を見る警護の侍を横目に、屋敷を取り囲んでいる民衆の前に姿を見せた。
「皆さん、心配をおかけしました。この常篤、無事この屋敷に帰ってまいりました。主殺しの罪ゆえ、このあとは、この屋敷にて隠遁生活をいたしますが・・・」
常篤に化ける準備は数日前、そう、常篤が諏訪を斬ったあの日から進めていた。
常篤はあの日、このような事態になって藩政が滞ることをあらかじめ予測していたのである。そして、そのために佐助がもう一人の常篤となって、民衆の怒りを呼び覚まさぬようにする。そして、そのときは自身は極秘に切腹し、諏訪一味をおさえる、といった策を与えていたのだ。
おかげで、佐助はそのための準備を十分に進めることができていた。
(やはり・・・常篤様はすばらしいお人であった。)
しかし、いつまでも悔やんでばかりはいられない。常篤の遺志にそむかぬために、佐助には次の仕事があった。
「よし。いくか。」
そういうと、佐助は驚く目で『常篤となった佐助』を見る警護の侍を横目に、屋敷を取り囲んでいる民衆の前に姿を見せた。
「皆さん、心配をおかけしました。この常篤、無事この屋敷に帰ってまいりました。主殺しの罪ゆえ、このあとは、この屋敷にて隠遁生活をいたしますが・・・」