白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
数日後、山奥にひっそりと立てられた常篤の墓に常篤が入れられるまで、紗枝はそのそばを離れることは無かった。
墓に入れられた後も、紗枝は毎日その墓の前を離れなかった。言葉もなく、何も口にせず、ただ離れなかった。
これを不憫に思った寺の住職が、彼女を寺の尼増として紗枝を迎えることとしたが、尼姿の紗枝は、やはり日々何に心を動かすこともなく、口を開くこともなく、ただ毎日常篤の墓を抱くようにして一日を過ごし、そして眠るのである。
紗枝が眠ったのを見計らって、寺の尼僧や僧侶が彼女を寺へ運ぶ。
しかし、朝早くにはすでに彼女の姿は部屋になく、すでに常篤の墓の前にあるのである。
「これほどに深く人を愛することがあるものか?」
その寺の住職は驚くことと感心することしきりであった。
墓に入れられた後も、紗枝は毎日その墓の前を離れなかった。言葉もなく、何も口にせず、ただ離れなかった。
これを不憫に思った寺の住職が、彼女を寺の尼増として紗枝を迎えることとしたが、尼姿の紗枝は、やはり日々何に心を動かすこともなく、口を開くこともなく、ただ毎日常篤の墓を抱くようにして一日を過ごし、そして眠るのである。
紗枝が眠ったのを見計らって、寺の尼僧や僧侶が彼女を寺へ運ぶ。
しかし、朝早くにはすでに彼女の姿は部屋になく、すでに常篤の墓の前にあるのである。
「これほどに深く人を愛することがあるものか?」
その寺の住職は驚くことと感心することしきりであった。