白桜～伝説の名刀と恋の物語～【完】
それからしばらくして、両親が帰ったのを見届けた紗枝の目に自然に涙があふれ出てきた。
（なぜこのような・・・）
なんという不幸な運命なのだろうか。
つい最近、夫に先立たれたばかりか、再縁を強制され、挙句の果てには商人ふぜいに辱められて玩具にされる。

この先の人生を思うとさらに涙がこぼれた。

（・・・この汚れた身体！）
それを思うと身体中が痒くなった。ただ汚されただけではない。女として反応し、男に快楽を与えたその体にさらに嫌悪感が増したのだ。
紗枝は着物を脱ぐと川に飛び込み、狂ったように身体に水をかけた。
（・・・こんな身体！こんな身体！！）

紗枝は自分のしたことを思うと、その汚れた体をかきむしりたい激しい衝動に駆られた。しかし、そうしたことがバレれば両親がどれほど悲しみ心配するか…。それを思うと紗江は何もできず、胸に手を当てて必死で自分を落ち着かせた。

(これが私の運命・・・。)
紗江はそれをも受け入れようとする。少し落ち着いた紗枝の目ににわかに光が戻り、そしてハッと気付いたように彼女は夜空を見上げる。
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