白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
この政(まつりごと)の責が誰に帰するものなのかは…まだ見極めねばならない。白桜の剣は一撃必殺の剣。なればこそ、使う時期と相手をしかと見極めなければ、それはときに一方的な虐殺にもなりうるのだ。そんなことになれば、それは今の諏訪と同じことようなことを自分がすることになるではないか。

その頃からである。そんな苦悩を抱える常篤は城下を流れる清流にすいこまれるように、より惹かれるようになってきた。以前にも増して河原にたたずむ時間が増え、その川面に自身を映して、この藩の・・・いやこの国の未来を憂うようになってきたのである。
川の流れは悠久である。四季を問わず流れ…命を運びそれをはぐくむ。
そのような川の流れをみるにつけ、常篤はそこになにかしらの希望の源をみるような気がするのだ。
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