白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
「常篤様・・・なんと穏やかで温かく柔らかな方・・・。」
それでいて、武士としての地位に甘んずることなく、日々鍛えられている太い腕は、まさに日々の研鑚の賜物であるに違いない。紗枝は帰り道をいそぎながら、そんな風に常篤のことばかりを考えていた。

同じ頃、常篤も同じことを考えながら帰り道を歩いていた。いずれ二人の間にある運命と縁はここからさらに残酷な螺旋をえがき、からみあっていくのである。
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