白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
「ねえ、仁左衛門様。この剣・・・おっきいし、きれいだね。」
子供がめしをほおばりながら話をする。
「ほう、そなた私の名前をしっているのか?」
「うん。いつもおっかあが、仁左衛門様はありがたい立派な領主様だから感謝するのよって言ってるから。」
「そうか。そんな立派な侍ではないのだがな。」
常篤が照れたように笑う。
「お侍さんって悪い人をやっつけるんでしょ?」
「ああ。そうだ。」
「じゃあ、諏訪様もきっとやっつけてくれるよね。」
子供が言う。
「諏訪様がなにかしたのか?」
常篤がたずねる。黙っているその子どもを見て、また常篤が聞く。
「諏訪様がどうかしたのか?」
すると、子どもは、覚悟を決めたような表情でようやく口を開いた。
「オイラの兄ちゃんはみんな死んだんだ。」
そのこどもがさらりという。
「一の兄ちゃんは、どっかに連れてかれて・・・飯も水もなくて、倒れて死んだ。次の兄ちゃんは、病気になったのに、どこかの小屋に閉じ込められて、ほっとかれたんだって。その次のお兄ちゃんは、途中で逃げようとして斬られたって、おっかあが言ってた。」
子供がめしをほおばりながら話をする。
「ほう、そなた私の名前をしっているのか?」
「うん。いつもおっかあが、仁左衛門様はありがたい立派な領主様だから感謝するのよって言ってるから。」
「そうか。そんな立派な侍ではないのだがな。」
常篤が照れたように笑う。
「お侍さんって悪い人をやっつけるんでしょ?」
「ああ。そうだ。」
「じゃあ、諏訪様もきっとやっつけてくれるよね。」
子供が言う。
「諏訪様がなにかしたのか?」
常篤がたずねる。黙っているその子どもを見て、また常篤が聞く。
「諏訪様がどうかしたのか?」
すると、子どもは、覚悟を決めたような表情でようやく口を開いた。
「オイラの兄ちゃんはみんな死んだんだ。」
そのこどもがさらりという。
「一の兄ちゃんは、どっかに連れてかれて・・・飯も水もなくて、倒れて死んだ。次の兄ちゃんは、病気になったのに、どこかの小屋に閉じ込められて、ほっとかれたんだって。その次のお兄ちゃんは、途中で逃げようとして斬られたって、おっかあが言ってた。」