白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
忠輝は、おじ伊達との天下を睨み、これに振り回されたために、さしたる有能な配下のいなかった忠輝支配下の松代藩は荒れた。さらに長安の要請による人夫が大量にかりだされたことも重なり、この藩政の乱れは家康の怒りをさらに増長させるトドメともなったのである。

この一連の忠輝騒動の裏で、荒れた田畑や治安を回復すべく活躍したのが、二代目白桜継承者の武田成平であった。

彼は、このとき、的確に三人の人物を一日…しかもたかだか二時間足らずのうちに斬り捨て、忠輝支配下で最も政を私物化し、これを権力と地位で揉み消してきた家臣と奉行を見事に斬り捨てたのである。

このことにより、忠輝が家康に処断されたあと、賄賂や報告の捏造などで藩政が歪められることなく、家康は的確な藩主の引き継ぎと藩政の改革をなし、この最も要所となる地のひとつである松代=中山道をおさえることが出来たのである。

< 89 / 182 >

この作品をシェア

pagetop