白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
すると、佐助はどこから取り出したのか、みっつほどの首を取り出し、常篤の前に転がした。
「すでに常篤様が、諏訪の領内に入った頃より、お命を狙っていた忍びの首にございます。このような者が、先日より多数常篤様の周囲をうかがっておりますれば、我等のような者がいなければ、夜安らかに眠ることもかないますまい。」
その首の数を見て常篤は背筋に冷たいものが走るのを覚えた。
「…それは失礼した。しかし、いまや私も貧しい一庄屋…白桜の伝承者とは名ばかりです。貴方たちの労をねぎらう褒美もないのです。」
常篤はばつが悪そうに言った。

「そのようなことならお気になさらぬよう。我等そのようなためにお側にいるのではございませぬ。」
「というと?」
「我等一族は…信玄様より特別な命を受けて、三桜をお守りするのがその存在意味にございます。我等自身の食いぶち位は我等で十分持っております。」
「しかし・・・」
すると佐助はその言葉をさえぎるように言った。
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