白桜~伝説の名刀と恋の物語~【完】
「とにかく。私は常篤様が必要と感じたときにお使いくだされば結構でございます。それが私の使命ゆえ。私はこの日のために生きてきておるのでございます。このたびの常篤様のお役に立つことが生きる意味にございます。それをお忘れなきよう。」
そこで常篤ははっとした。
(この者もまた運命という輪の中に生きるもの。その努めを果たさせることが彼らに答えるための私の使命・・・)
そう。人は生まれたときから、その運命を背負っている。その運命が重いものであっても、それをさけて生きることはかなわないのだ。
「言わずもがなのことを申し上げて、申し訳なかった。」
常篤は素直に非礼を謝すと、さっそく命を与えた。
「さっそくですまないが…諏訪の周辺と福田屋、この線に何があるか、それをつぶさ調べてきてほしい。」
「御意。」
それだけ佐助は言うと一瞬のうちに姿を消した。
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