KEEP OUT!!
本当はカレが心置きなく、清々しい気分で旅立てるように応援したいのに。
新しいステップを踏もうとしてる姿をかっこいいって思ってるのに。
悪態なんてついて困らせたくなんてないのに。
わたしたちが動揺することをわかっていて中々言い出せなかったことくらい、誰よりもわたしたちにやさしいカレだもの。
そんなこと頭ではわかりきっているのに。
(やだよ。やだよ。やだよ!)
声に出来ない悲鳴が胸をかきむしる。
にらみつけていないと、唇をかみしめていないと、今にも涙が溢れ出してしまいそうだった。
爪がくい込むほど拳を握り──
喉元にギュッ、と力を込めて──
つま先に体重をかけて身体を緊張させなければ──
崩れ落ちてしまう。
それでも、亮平は、
「俺──」
揺らぐことなく、ただただ真っ直ぐな瞳でわたしの揺れる視界の向こうから、
「──いってくる」
強く、やさしい口調で。
まるで、何かにサインをするようにいった。