KEEP OUT!!
「亮平は……いた!」
搭乗手続きはもう済ませたのか、軽装になった亮平はターミナルの待合所に座っていた。
「お~い」
「紗智、やえっち!」
行き交う人々に気をつけながら走りよるわたしたちをほっ、とした表情で迎える亮平。
ふと時計を見ると案外とまだ時間には余裕があるようだった。
まぁ、そのために“酔い止めなし”でがんばったんだもの。
そうでなくちゃ困る。
「やれやれ間に合ってよかったよ~」
ほっ、とひといきをつく。
さて。
「じゃ、後はおふたりさんで」
「えぇっ!?」
「あ、おい!」
ひらひらと手を振ってその場を離れる。
さすがに目の前でふたりのやり取りを見るのは、ね。
ちょっぴり、つらいから。
それにわたしがいない方がふたりとも言い出しやすいと思うし。
声が聞こえなくなる程度に離れ、
「…………」
やっぱり気になって振り返ってみる。
ふたりとも少しうつむき加減になったまま、まだ何も話している様子は、ない。
と、亮平が顔を上げて何事か八重ちゃんにいった。
時々落ち着かなさげに鼻をかいたりポケットから手を出し入れしながら、それでもここから見ていてもわかるくらい、真剣に。
そんなカレの言葉のひとつひとつを、両手で口元を覆いながら合わせるようにひとつひとつ頷く八重ちゃん。
頬は紅色に染まっていき、時折目尻を指で拭う。