KEEP OUT!!


『当空港発、カナダ行き、002便へ御搭乗の皆さま方──』


 構内アナウンスが別れの時間を告げる。

 わたしたちの周りの人々の中にも数名が席を立ち、ゲートを通過していった。

 そして同じようにわたしたちも、手荷物検査のゲートまで歩いていく。

「紗智、いろいろありがとな」

 振り返っていった亮平の顔は、とても清々しく。

 それを見つめる八重ちゃんの顔も、少しだけ瞳の端を潤ませながらもやさしい色に染まっていた。

 電光掲示板の1番上に、搭乗予定の便が表示される。

 もう、まもなくだ。

 それにしても……ありがとう、か。

「ふん。ほんとに世話のやける親友を持ったものだわ」

 まだ今はちょっとだけ、

「あら、それって私も含まれちゃってる?」

 その言葉に苦いものを感じるけれど、

「さて、どうかしらねぇ?」

 それもきっと大切な味なんだと思う。

「ひどいや紗智」

 だってほら、

「ひどいや紗智ちゃん」

 こうやっていつもの会話が戻ってきた。

 いつもの空気が戻ってきた。


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