KEEP OUT!!
「ふぅ、ふぅ……」
や、やっぱり迎えにきてもらえばよかったかなと、今さらながらに思う。
夏の始まりともなれば登るだけで汗がじんわりと浮かぶこの坂は、あいかわらずだ。
「つ、着いた~」
よく昔はこんなとこに通ってたわねぇ。
って、やだやだ。
すごいオバサンみたいじゃない。
なんのまだまだ花の20代!
「あ、お~い」
「ごめんごめん、お待たせ~」
校門脇に停めた車から降りてきた八重ちゃんが手を振って迎えてくれる。
「もぅ、だから迎えにいこうかっていったのに」
「や、や~なんとなく、ね。よし、じゃぁいこっか」
「そだね」
休日の校庭は運動部のコたちがたくさんの汗をかきながら一生懸命に練習をしていて、様々なかけ声が飛び交っている。
そんな光景を懐かしみつつ横目で見ながら、わたしたちは校舎へと向かった。
中に入ると気温が少し下がり、スリッパを履く前に素足で廊下に上がるとひんやりとした感触が火照った身体に心地いい。
「う~、寝そべりたい……」
「気持ちはわかるけど、やめようね」
宿直の先生にひとこと挨拶を交わしたわたしたちは、真っ直ぐに目的地に向かった。
「それにしても先生がまだここに勤めてくれてて助かった~」
「そだね~。けっこう当時とは人が変わっちゃってるもんね」
「そうそう~」