KEEP OUT!!
「失礼しま~す」
「失礼します」
美術準備室に入ると、懐かしいテレピン油の香りに混じってお日様の香りがわたしたちを包み込む。
「やぁいらっしゃい。待ってましたよ」
「御無沙汰してます、宮脇先生。今日はお忙しい中──」
「まぁまぁ堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。こちらにきて珈琲でもどうです? インスタントですけど」
そういって先生は椅子を2脚ほど用意すると、
「外は暑かったでしょう? アイスにしてますから、ちょっと待ってて下さいね」
「すみません。ありがとうございます」
奥の方に消えていった。
改めてゆっくりと室内を見渡すと、変わっていないようでいて少しずつ変わったこの部屋。
木製の棚は当時もっと艶やかで黄色に近い色合いだった気がするのに、今はずいぶんとくすんで乾いた色になっている。
そこに差し込まれたカンバスも、数枚覗いて見れば覚えのない物の方が多い。
そして、
「はい、お待たせしました」
宮脇先生の雰囲気も、ずいぶんと変わった気がする。