KEEP OUT!!
そのことについては本当に薫叔父さんに感謝しきり。
実はたまたまこれまでの集大成として個展を開こうと思っているとピアニッシモで話したとき、
「ウチでやるのはどうだ?」
といわれたのだ。
なるほど、おもしろい。
最初は普通に小さなギャラリーでも借りて催そうかと思っていた。
でもそれだとよほど有名な画家でもないかぎりなかなか人は集まらない。
けれどピアニッシモを使ってやるなら……。
「コンセプトは『珈琲と共に楽しむ記憶』でしたっけ?」
「えぇ」
個展の表題は、
──『15の気持ち』
様々な場面を描いた15枚の絵を各テーブル側の壁にかけ、それを眺めながらそれぞれの想い出を重ね合わせ、珈琲と共に楽しんでもらおうというもの。
激しい夏の陽射しに毅然と顔を上げる向日葵であったり。
春雨で生まれた、アスファルトを流れる桜舟であったり。
仄暗い洞窟に射し込む一条の光に照らされる、ひとりの少女であったり。
枯葉舞う街路樹で、そっと寄り添う初老の男女であったり。
そしてそれらの中心となる絵が、この絵。
今のわたしの核となっている、絵。
初め、これまで書き溜めた作品の中から今回に合う作品をピックアップしたのだけれど、最後の1枚がどうしても決まらなかった。
日程はすでに決めてしまっていて、日が経つごとに焦りが膨らんでいく中ふと、この絵のことを思い出したのだ。
気付けばもう開催は明日。
慌てて翌朝学校に連絡を入れて、今に至る。
「しかしそういう内容のテーマであれば、この絵はうってつけでしょうね」
「先生がそう仰って下さると、自信が持てます」
おっと、そろそろいかなくちゃ。