KEEP OUT!!
わたしと八重ちゃんは白組。
亮平は赤組。
競技は最後の全学年男女混合リレー。
何の因果か、わたしは白組女子のアンカー。
「はっはっはっ。紗智がアンカーならうちの勝ちは確定だな」
「う、うっさいわね! わたしだってホントは出る気なかったわよ!!」
順位を書いた旗を持った亮平がそんな嫌みをいった。
実は予定してたアンカーの子が直前の競技でケガをして出られなくなったのだ。
代役を立てようにも急な大役に皆尻込みしちゃって首を横に振るばかり。
そこで白羽の矢が立ったのが、運動会実行委員をしていたわたし。
もうこのときには皆ほぼパニック状態で、先生も軽く半泣きで頼んでくるものだから断るに断り切れず。
しかも、
「あぁ、なんでリードして戻ってくるのよ~」
いっそ大差で負けてくれていれば気が楽だったろうに、こいうときに限って実にドラマチックな展開。
「ほらっ、日下さん! 準備してっ!!」
「は、はいっ!!」
先生に急かされ、慌ててリレーゾーンに向かおうとしたわたしは、
「はわっ!」
情けないことに足がもつれて転倒。
「紗智っ!?」
「いったぁ……」
あまりの緊張で身体がガチガチになってたせいか、ろくに受け身も出来ずにコケたわたし。
「大丈夫か? ちょっとみせてみ……あ~こりゃぁ……」
心配してかけよってきてくれた亮平が傷口をみて、眉を寄せる。
派手に打ち付けた膝には砂まみれの傷。
そこから結構な勢いで血が流れてて、しかも打った部分に傷とは別の鈍痛が走る。